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コラム
2016/02/07

貸切バス事故対策防止 「運行計画など『可視化』を」 成定竜一

観光経済新聞社(管理者)
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 貸し切りバスの事故が相次ぎ、社会不安となっている。どんな問題を抱え、どう事故防止対策を講じるべきか、高速バスマーケティング研究所の成定竜一代表に寄稿していただいた。


◇    ◇


 1月15日未明、長野県軽井沢町でスキーツアーの貸し切りバスの悲惨な事故が発生した。1人の人として、被害者、ご家族のことを思えば胸が痛む。また、バス業界向けのコンサルタントで、過去の大事故を受け制度見直しに携わった立場として、未熟な事業者が業界の信頼を失墜させた点に悔しい思いでいっぱいだ。


 ●事故の原因


 (1)事故の直接的原因(2)当該事業者の課題(3)業界全体の中での位置づけ―という3段階で検証が必要だが、(1)は警察の捜査などを待つしかない。(2)は、バス事業者という以前に会社としてあまりに未熟としか言えない。よって、以下、(3)に絞って考察したい。


 ●制度の変遷


 2012年の関越道などいくつかの事故を機に貸し切りバスの制度が改正された。交替運転者の配置基準(「夜行の場合は原則400キロメートル」)などである。


 またそれらの事故に際しては、旅行会社が立場の強さを利用し値引きを要求した結果、安全性が毀損されたのではないかと指摘が続いた。そのため、貸し切りバスの運賃制度も改正され、昨年4月から本格的に施行された。


 この新運賃制度は、他の制度改正とは異質の点がある。バス事業者に直接的メリットがあり、順守する動機が強い点だ。まずは着実に新制度を定着させ、そこで得た新しい収益を乗務員の待遇改善等に再投資すべきだ。


 また、違反すれば発注者にも処分の可能性があるので、旅行会社にも順守を求めたい。


 ●安全の可視化


 バスの法令はあまりに細かく複雑で、一見しただけでは違法性を認識できない点が「どうせバレないだろう」という軽い意識での法令違反を誘発している。運行計画や、時には運賃額の車内表示等を義務化し「可視化」により違反を抑止する手法も検討すべきだ。


 また、募集型企画旅行の募集広告などにおいて利用予定バス事業者を明記し消費者の選択基準の一つとすることで、安全性やサービス向上が事業者の収益に反映する仕組みも一考に値する。


 まずは意欲ある旅行会社が取り組むことを期待する。個別の社名は無理でも「『貸し切りバス事業者安全性評価認定制度』取得事業者指定」や、限定できない場合は「バス会社未定」という表記でも消費者の指標になろう。現金な話で恐縮だが、今それを始めた旅行会社にはメディアの注目が集まりブランド価値に反映するはずだ。


 最後に、バス業界の信頼回復にはご当局、旅行業界をはじめ多くの方のご協力が必要だ。筆者も微力ながら関係者間の調整に汗を流す覚悟があるので、一層のご協力をお願いする次第である。

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